金曜の夜十一時過ぎ。家族はもう寝ていて、キッチンの蛍光灯だけがついていました。冷めた麦茶のグラスの横でノートパソコンを開いて、私は検索窓に「50代 動画編集 副業」と打ち込んだのです。
指が止まりました。エンターキーを押す前に、自分が何を確かめようとしているのか分かってしまったからです。私は情報が欲しいのではなく、「まだ間に合う」と誰かに言ってほしかった。
先に正直なことを書いておきます。私はこの記事で紹介する動画編集スクールを、まだ受講していません。オンラインの説明会に参加して、ひととおり話を聞いて、送られてきた資料を開いたまま、まだ決めかねている・・・それが今の私の位置です。
だからこの記事は「受講して成功しました」という話でも、「あんなものは怪しい」と切り捨てる話でもありません。57歳、定年まで3年を切った一人の会社員が、判断するために集めた材料をそのまま並べたものです。
この記事を読み終える頃には、次の3つが手元に残るはずです。
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蛍光灯の下で「50代 動画編集 副業」と打ち込んだ夜
きっかけは、二つ上の先輩と飲んだ帰り道でした。
先輩は去年、定年を迎えて再雇用で会社に残っています。「同じ席で、同じ電話を取ってるよ」と笑ってから、少しだけ間を置いて金額を口にしました。私は返す言葉が見つからなくて、ただ「そうですか」とだけ言ったのを覚えています。
家に帰って、その数字が本当なのかを調べました。特別な話ではありませんでした。
国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、男性の平均給与は55〜59歳で735万円、60〜64歳で604万円。定年前後で130万円ほど落ちるのが平均的な姿です。パーソル総合研究所の調査ではもっと厳しく、定年後再雇用者の約9割が定年前より年収が下がり、全体平均で44.3%の減少。約半数は定年前の半分以下になっていました。
先輩の口にした数字は、例外でも何でもなかったわけです。
もうひとつ、気になった数字があります。総務省の「令和4年就業構造基本調査」では、実際に副業をしている人は305万人。それに対して、「今の仕事を続けながら、他の仕事もしたい」と思っている追加就業希望者は493万人。5年前より93万人も増えています。
やっている人より、やりたいのにやれていない人のほうが多い。
その夜、私はまさにその493万人の側にいました。何かしなければいけないと分かっていて、何もしていない。しかも「何をすればいいのか分からない」のではなく、**「今から始めて間に合うのかが分からない」**という、もっと厄介な足踏みでした。
翌朝、私は検索履歴を消さずに残しておきました。もう一度向き合うために。
50代・未経験に、動画編集の仕事は本当に残っているのか
結論から言えば、仕事そのものは確実に増えています。ただしそれは「私が稼げる」という話とは別物です。
まず、増えているという根拠のほうから。
サイバーエージェントとデジタルインファクトが発表した「2025年国内動画広告の市場調査」によると、2025年の国内動画広告市場は8,855億円で、前年比122.2%の成長。2026年には1兆437億円、2029年には1兆6,336億円に達すると予測されています。今から3年で、ほぼ倍になる見通しということです。
中でも伸びが激しいのが縦型動画広告で、2025年の市場規模は2,049億円、前年比155.9%。スマートフォン向け動画広告全体の29.1%を占めるまでになりました。
広告費が増えるということは、広告の「中身」を作る人手が要るということです。企業が動画を出そうとすれば、撮って、切って、テロップを入れて、音を乗せる作業が必ず発生します。そしてその大半は、社内ではなく外に出されます。
ここまでが希望の話です。
ここから、自分でブレーキを踏みます。
この8,855億円という数字は、発注する側の予算が増えているという意味であって、私の口座に入る金額の話ではありません。市場が2倍になっても、参入する編集者が3倍になれば、一人あたりの取り分は減ります。実際、動画編集は「未経験から始めやすい副業」として長く宣伝されてきたぶん、入口の単価は下がり続けている領域です。
市場の追い風は、参加資格ではあっても入場券ではない。私はそう整理することにしました。追い風が吹いているから船を出すのではなく、追い風が吹いているうちに帆の張り方を覚える、という順番です。
50代が動画編集の副業でつまずく、3つの場所
調べていくうちに、50代が脱落する場所には決まった型があることが見えてきました。しかもそのどれも、「若いから有利」「歳だから不利」という単純な話ではありませんでした。
独学は「難しさ」ではなく「孤独」で止まる
無料の解説動画は、驚くほど充実しています。カット編集もテロップも、検索すれば丁寧に教えてくれる人が何人もいます。だから技術的なハードルは、正直それほど高くありません。
折れるのは別の場所です。
自分で30分の動画を切ってみて、それなりの形になった。でも、**これがプロの現場で通用する水準なのかが、まったく分からない。**確認してくれる人がいない。誰にも見せられない。そのうちパソコンを開く回数が減っていって、ある日ソフトのサブスクを解約する——。
私は以前、この「一人で始めて一人で終わる」パターンを、別のことで一度やっています。だから今回は、独学が向いていないという自分の性質を先に認めるところから始めました。
編集できても、案件は取れない
ここが一番の落とし穴だと思います。
編集スキルと、仕事を取るスキルはまったく別物です。クラウドソーシングに登録して、提案文を書いて、断られて、また書く。この工程を「編集を勉強したのに、なんでこんなことを」と感じてしまう人は、たいてい途中で止まります。
ただ、ここについてだけは、私は少しだけ楽観しています。
私は運送業界で長く営業をしてきました。荷主さんに頭を下げて、条件を詰めて、断られてもまた行く。あの繰り返しを20年以上やってきたわけです。提案文を書いて返事が来ないことを「普通のこと」として処理できるというのは、50代の会社員が持っている、地味だけれど確かな資産だと思うのです。
技術で20代に勝つのは難しい。でも、断られ慣れているという一点なら、勝てる場所があるかもしれません。
目と、腰と、時間の話
若い人が書いた記事には、まず出てこない論点です。
動画編集は、細かいテロップの位置を1ピクセル単位で合わせるような作業が延々と続きます。老眼が始まっている目には、これがなかなかこたえます。同じ姿勢で3時間座り続ければ、腰にも来ます。
そして何より、本業を持ったまま、どこにその時間を置くのかという問題があります。平日の夜は疲れている。土日は家族の予定がある。
私が考えた現実的な線は、こうです。
- モニターは大きめのものを一枚足す(ノートPCの画面だけで作業しない)
- 作業は「1本まるごと」ではなく「今日はカットだけ」と工程で区切る
- 平日は30分でいいと決めてしまう。ゼロの日を作らないことを優先する
派手さはありませんが、50代が続けるとしたらこういう形だろうと思っています。
独学・オンライン長期・短期対面——3つの道を並べてみた

学び方には大きく3つのルートがあります。どれが正解かではなく、自分がどこで折れるかで選ぶものだと私は考えました。
| 独学 | オンライン長期スクール | 短期対面スクール | |
| 費用の目安 | 0円〜数千円(ソフト代のみ) | 5万〜30万円程度 | 15万〜20万円程度 |
| 期間 | 無制限(=終わりがない) | 3〜6か月 | 土日2日間 |
| つまずいた時 | 自分で調べる | チャットやメールで質問 | その場で講師に聞ける |
| 主なリスク | 独学で消える/基準が分からない | 中だるみ・受講期限切れ | 2日で消化しきれない可能性 |
| 向いている人 | 自走できる人・お金をかけたくない人 | 平日夜にコツコツ進められる人 | 短期で形にしたい人・一人だと続かない人 |
(費用はいずれも目安。各社の改定により変動します)
私が引っかかったのは、オンライン長期の「中だるみ」でした。週1時間を4か月続けるのと、2日間で14時間まとめてやるのとでは、投入する総時間はほとんど変わりません。だとすれば、中だるみする余地のない形のほうが、私には合っているのではないか——そう考え始めたのが、対面型を調べたきっかけです。
そこで名前が出てきたのが「動画編集CAMP」でした。
動画編集CAMPの説明会に行ってきた
申し込みボタンを押すまでに、私は3日かけました。
説明会は無料で、参加したからといってその場で契約しなければならないわけではない。頭では分かっていても、「行ったら断れないんじゃないか」という警戒心が働くのです。50代の会社員というのは、だいたいそういう生き物だと思います。

内容は必要なポイントにしっかり絞られていて、情報量が多すぎることもなく、学んだことをすぐに実践へ移せる構成だったのも良かったです。
理想論だけを語る内容ではなく、現場で役立つ実践的な内容が中心なので、「楽に稼ぎたい」「短期間で大きく稼ぎたい」と考える人には合わないかもしれません。一方で、地道にスキルを身につけながら着実に実績を積み重ねたい人には、とても向いている講座だと感じました。
その場で聞いた費用と仕組み
動画編集CAMPは、土日の2日間・対面でYouTube向けの動画編集を学ぶという設計のスクールです。主宰は青笹寛史(あおささ ひろふみ)氏。医師免許を取得した後に医師にはならず、動画編集者の教育を仕事にしている方で、指導実績は1,000名以上とされています。
学ぶ内容は、業界標準のAdobe Premiere Proを使ったカット編集、テロップ、BGM・効果音の挿入、色調補正、アニメーションといった一連の工程。座学だけでなく、その場で手を動かしながら進める形式です。
費用については、私が確認した時点では次のような構成でした。
- 2日間の講座:20万円(税込)/説明会に参加すると15万円(税込)
- 受講後のアフターサポート:月額15,000円/受講者は月額10,000円
※料金は改定される可能性があります。申し込みを検討される場合は、必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。
「2日で15万円」と聞くと、反射的に高いと感じました。ただ、電卓を叩いてみると印象が変わります。オンラインで週1時間を4か月続けても、投入時間は同じくらいになる。時間単価で見れば、そこまで法外というわけではない——少なくとも、そう考える余地はありました。
正直に書いておきたい、引っかかった点
良い面だけ書いても仕方がないので、気になった点も並べておきます。
1つ目。「2日で稼げるようになる」は、保証ではありません。 公式の訴求としては「月曜日から動画編集者へ」という力強い言葉が並びます。ただし当然ながら、これは受講した人の中に実際そうなった方がいるという話であって、全員がそうなるという約束ではありません。公式サイトにも「成果には個人差があります」と明記されています。ここを読み飛ばして期待値を上げてしまうと、後で必ずつまずきます。
2つ目。LINE登録から説明会までの導線が、人によっては構えるかもしれません。 実際に受講した方のレビューにも、この導線が独特に感じられたという声がありました。私自身も最初は身構えました。ただ、これは形式の問題であって、中身の評価とは分けて考えるべきだろうとも思っています。
3つ目。アフターサポートは月額の継続課金です。 15万円を払って終わりではなく、サポートを受け続ける限り毎月の費用が発生します。半年続ければ6万円。ここまで含めた総額で判断する必要があります。
4つ目。ネット上には、否定的な論調の記事も存在します。 「2日の講座で稼げるようになるのは難しい」といった趣旨のものです。ただしそうした記事の多くは、末尾で別の副業商材やLINEへの誘導が置かれている構成でした。批判の内容そのものは検討に値しますが、誰が、何のために書いているのかは併せて見ておいたほうがいい、というのが私の感想です。
私が線を引いた「向いている人/やめておいた方がいい人」
材料が揃ったので、自分なりに判定基準を作りました。誰かに押しつけるものではなく、私が自分を測るために引いた線です。
向いていると思われる人
やめておいた方がいいと思われる人
私自身は、向いている側に3つ、やめておく側に0.5個ほど当てはまりました。だから、まだ決めていません。0.5というのは「家族の理解を得て土日を空ける」の部分がまだ半分しか片付いていないからです。
決めていないことを、そのまま書いておくのが誠実だろうと思っています。
結局、私は何を買おうとしていたのか
説明会からの帰り道、駅のホームで電車を待ちながら、妙なことを考えていました。
私は動画編集のスキルが欲しかったのだろうか。
たぶん、違います。カット編集ができるようになりたいわけでも、テロップを打ちたいわけでもない。私が欲しかったのは、定年を迎えたときに、自分の時間に自分で値段をつけられる状態でした。会社が決めた再雇用の条件を、黙って受け取るしかない立場から少しでもずれておきたかった。
動画編集は、そのための一つの手段にすぎません。ライティングでもいいし、別の何かでもいい。ただ、市場が今まさに伸びていて、パソコン一台で始められて、2日間という締切のある学び方が用意されている——という条件が揃っているものは、そう多くありませんでした。
その晩、資料をテーブルに広げていたら、妻が水を飲みに起きてきました。「まだやってるの」と言われて、私は「まだ決めてない」と答えました。妻は資料を横目で見て、「聞くだけならタダなんでしょ」とだけ言って寝室に戻っていきました。
たしかに、そのとおりでした。
私はまだ結論を出していません。ただ、何も知らずに悩んでいた夜と、材料を持って迷っている今とでは、まったく違うということだけは分かります。
※成果には個人差があります。
FAQ よくある質問
- Q50代・パソコン初心者でも動画編集は覚えられますか?
- A
Excelやメールを日常業務で使えるレベルであれば、操作そのものは学べる範囲です。実際に50代の受講者もいます。ただし、覚えられるかどうかより「続けられるかどうか」のほうが分かれ目になります。一人だと止まりやすい方は、質問できる環境を用意したほうが現実的です。
- Q動画編集の副業は、月にいくらくらいになりますか?
- A
金額は案件の種類、稼働時間、営業の量によって大きく変わるため、断定できる数字はありません。「必ず◯万円」と書いてある情報には、まず疑いを持ったほうがいいと考えています。副業収入は読めないものとして、家計の必須部分には組み込まない前提で始めるのが安全です。
- Q独学とスクール、どちらがいいですか?
- A
費用をかけずに済むのは独学ですが、「基準を確認してくれる人がいない」という点が最大の弱点です。逆にスクールの価値は、技術そのものより「つまずいた瞬間にすぐ聞ける」ことにあります。過去に独学で挫折した経験があるかどうかが、判断の目安になります。
- Q説明会に参加したら、申し込まないといけませんか?
- A
無料説明会は情報収集の場であり、その場で決める必要はありません。実際、私自身も参加した後に結論を保留しています。料金体系や日程、自分に合うかどうかを確認する場として使う、という付き合い方で問題ありません。
まとめ|まず、材料を集めるところから
長くなったので、3行に畳みます。
- 動画編集の市場は伸びている。ただしそれは発注側の話であって、自分が稼げる保証ではない
- 50代がつまずくのは技術ではなく、「孤独」「営業」「時間と体力」の3か所
- 独学・オンライン長期・短期対面のどれを選ぶかは、自分がどこで折れるかで決まる
そして、決める前にできることが一つあります。情報だけ取りに行く、という使い方です。
動画編集CAMPの説明会は無料で、参加すると受講料が5万円下がる仕組みになっています。仮に受けないとしても、料金体系と学習内容を直接確認できるだけで、判断の精度はずいぶん上がります。私にとっては、少なくともそうでした。
\土日2日間の対面指導・無料説明会を確認する/

※料金・日程は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。 ※成果には個人差があります。
あの夜の私と同じように、キッチンの蛍光灯の下で検索している方がいるとしたら。まだ決めなくていいので、材料だけでも集めておくといいと思います。3年後の自分に渡せるものは、たぶんそれくらいしかありませんから。



